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患者さまへ

血液疾患、特に血液がんの治療選択肢はますます増えており、治療成績も飛躍的に向上しております。当科は化学療法から移植治療、細胞免疫療法まですべての治療を提供することが可能です。

 

患者さん一人一人に最も安全で有効な治療を提供できるよう、国内外から報告されている最新の知見を基に、科内で十分な検討を行っています。提案させていただく治療とその効果、合併症や副作用について、その他の治療選択肢との比較を患者さんやご家族の方に分かりやすく丁寧に説明させていただいた上で決定していきたいと考えております。

患者さまへ

血液の病気と当科の取り組み

白血病

白血病は赤血球、白血球、血小板をつくる細胞ががん化し、無秩序に増殖する病気です。

 

骨髄中で白血病細胞が増加するため、正常な血球産生が減少し、それに伴い様々な症状が出現します。急性と慢性とに分けられ、急性白血病は白血病細胞が急速に増殖し、慢性白血病は数年の経過でゆっくりと増殖します。また、がん化している細胞系列により、骨髄性とリンパ性に分けられます。

白血病の治療は抗がん剤治療が中心となり、急性白血病は入院で複数の抗がん剤を組み合わせて治療し、抗がん剤治療のみでは治癒が難しい場合は同種造血幹細胞移植を考慮します。

 

高齢者の急性白血病の患者数が増加していますが、2021年には急性骨髄性白血病に対して、ベネトクラクスとアザシチジン併用療法が日本でも使用できるようになり、予後の改善が大きく期待できます。

 

当科ではこの治療法の経験が豊富であり、多くの患者さんに治療を行っております。一方、慢性白血病は外来での治療が中心で、慢性骨髄性白血病は内服薬での治療が可能です。

急性白血病の治療は強力なため、免疫力が著しく低下しますが、当院には2018年10月に国内でも最新の設備を誇る無菌病棟27床が開設され、安心して治療を受けていただけるようになりました。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫はリンパ球が際限なく増殖することで発症する悪性腫瘍で、50種類以上のタイプに分類されます。

 

リンパ球はほぼ全身に分布するため、悪性リンパ腫は体のあらゆる部位から発生しますが、リンパ節からの発生が多く、リンパ節が腫れて気づくことがあります。診断には病理検査が必須で、具体的には腫れているリンパ節など病変部の一部を切除し、顕微鏡検査や遺伝子検査を組み合わせ、病理医が診断します。

 

治療は抗がん剤治療が中心となりますが、場合によっては放射線治療や手術などと組み合わせることもあります。使用する抗がん剤はリンパ腫のタイプや病期、さらに年齢や並存疾患など患者さん側の要素を加味して決定します。

 

悪性リンパ腫は歴史的にも当科が最も力を注いできた疾患の一つであり、治療経験が豊富な医師が多数在籍しております。

 

当科では早期より悪性リンパ腫の中央診断システム(READ system)を導入しており、より確実性の高い病理診断を基に治療を行っています。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫は血液細胞の一種である形質細胞が腫瘍化し、骨髄で増殖した疾患です。

 

骨髄腫細胞は働かない抗体を産生し、これをM(モノクローナル)蛋⽩と呼んでいます。多発性骨髄腫は異常形質細胞やM蛋白が様々な臓器障害(高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変など)を引き起こします。

 

治療は抗がん剤治療と症状や臓器障害を緩和、改善する支持療法を組み合わせて行いますが、多発性骨髄腫は完治が困難なため、臓器障害を認めた時点で開始します。

 

高齢者に多い疾患であり、全身状態や並存疾患を考慮し、患者さんやご家族と相談の上、治療法を決定します。また、QOLを可能な限り維持するため、外来治療が中心となります。


また、当科ではCAR-T療法(キメラ抗原受容体T細胞療法)、二重特異性抗体など最新の治験や臨床研究を積極的に行い、他施設よりも多くの治療選択肢を提供し、一人でも多くの患者さんの力になれるよう努力しています。

CAR-T療法

 

順天堂大学血液内科では、がん免疫療法であるCAR-T療法に力を入れております。


2020年2月にCAR-T療法「キムリア」 の認定施設となった後より、再発・難治性の急性白血病と悪性リンパ腫の多くの患者さんがCAR-T療法で治療を行っております。

さらに多発性骨髄腫に対するCAR-T療法の認定施設となり、治験も開始しております。

 

診療だけでなく、研究でも、ベイラー医科大学Center for Cell and Gene Therapyに留学していた経験を生かし、より良いCAR-T療法の実現を目指した活発な研究を当科で行ない、その成果を診療に役立てています。


CAR-T療法による治療をご希望される方は、まずはお気軽に外来CAR-T相談窓口にご相談ください。

骨髄増殖性腫瘍

すべての血液細胞の種である造血幹細胞に遺伝子変異(遺伝子に傷が入ること)が生じて、血液細胞が過剰に産生されてしまう疾患です。 

代表的な疾患として、主に赤血球が増える真性多血症(真性赤血球増加症)、血小板が増える本態性血小板血症、骨髄の中に線維が増えてしまう原発性骨髄線維症が挙げられます。 

真性多血症や本態性血小板血症は自覚症状を伴わないことも多く、健康診断や脳梗塞などを発症した際に偶発的に見つかることもあります。 

一方、骨髄線維症は骨髄で正常な造血ができなくなり、脾臓や肝臓など他の臓器で血液が造られ(髄外造血と言います)、その結果、脾臓や肝臓が腫れてしまうことがあります。だるさ、かゆみ、体重減少などの全身の症状を伴うこともあります。

骨髄増殖性腫瘍は稀な血液疾患ですが、当科では臨床研究としてJAK2, CALR, MPLの3種類の遺伝子変異を調べることで診断に繋げるとともに、新規治療薬の治験にも積極的に参加しています。

造血幹細胞移植

造血幹細胞は赤血球、白血球、血小板などの全ての血液細胞に分化することができる能力を持ちます。

造血幹細胞移植は、骨髄造血機能と免疫機能を大量化学療法や放射線によって強力に抑制した後に、この造血幹細胞を点滴で輸注することにより、新たに造血機能と免疫機能の再構築を目指す治療法です。

 

造血幹細胞を移植することにより、正常造血の回復が期待できるため、通常では投与出来ない程の強力な抗がん剤投与、放射線療法を前処置として実施出来ます。

 

自分の造血幹細胞を移植する自家移植は、この強い前処置による腫瘍の排除を目的とします。一方、他人の造血幹細胞を移植する同種移植においては、ドナー由来リンパ球が終生に渡り腫瘍細胞を監視し、攻撃して排除を続け再発を防ぐ効果が期待できます。


当科は1994年の開設当初より、継続して造血幹細胞移植に力を入れており、専門性の高いスタッフが昼夜を問わず、移植治療のために尽力しております。

 

最新の設備を誇る27床の無菌病棟が開設されて以降、移植件数も年々増加しており、現在は年間約40件の移植を行なっております。

 

特に骨髄線維症に対する移植件数は国内でも有数のものとなっており、高齢者への移植も積極的に取り組んでいます。移植を受けた患者さんが再び元気に暮らせるように、医師のみならず看護師、薬剤師、理学療法士などスタッフ一同が協力して、治療にあたっております。

血液の病気と当科の取り組み
主任教授より

血液内科 科長より

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 当教室と診療科は、1994年に初代押味和夫教授の主宰で本郷の順天堂医院に開設されました。その後小松則夫教授のもとで教室が発展し、2021年10月より、安藤美樹が主宰しております。

 血液内科では貧血や多血症、血小板減少症などの良性疾患から、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液のがんまで、幅広い疾患の診療を行っております。血液内科の分野では新薬の研究開発が急速に進歩しますので、以前は治らなかった病気が、今は治ることも少なくありません。実際に、多くの患者さんが通院しながら治療を継続されています。

 私は悪性リンパ腫、特にウイルス関連リンパ腫とそれに対するがん免疫療法を専門にしております。より有効な治療を目指してスタッフ一同と共に努力を続けております。

また、当院では造血幹細胞移植とCAR-T(キメラ抗原受容体T細胞, カー・ティー)療法という細胞治療にも力を入れております。造血幹細胞移植では、血縁者をドナーとする造血幹細胞移植に加えて、骨髄バンクもしくは臍帯血バンクを介する、非血縁者間造血幹細胞移植が可能であり、専門性の高いスタッフと共に、27床の無菌室が完備されております。

 

 一方で、CAR-T療法については、2020年2月から急性白血病と悪性リンパ腫に対するCAR-T療法「キムリア」の認定施設として、実際に多くの患者さんに治療を行っております。さらに、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法「カービクティ」の認定施設となり、多発性骨髄腫に対するCAR-T療法の治験も開始しています。

 研究面ではベイラー医科大学への留学、東京大学医科学研究所での研究経験を生かして、iPS細胞技術、ゲノム編集技術など最新の技術も取り入れながら、多くの患者さんに迅速に治療できる、強力なT細胞療法の確立を目指しております。

 当院で治療を受けてよかったと思っていただけるよう、このような質の高い医療体制を整えておりますので、お気軽にご相談ください。今後とも血液内科をどうぞよろしくお願いいたします。

安藤 美樹 

順天堂大学大学院医学研究科 血液内科学
主任教授

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外来担当医表

当院は、高度医療、先進医療を提供する病院として、他の医療機関と相互連携を図り、診療を行う厚生労働省に認定された「特定機能病院」です。


はじめての受診や診療間隔が空く場合(概ね6ヶ月以上)には、必ず紹介状をご持参ください。介状がない場合は、すぐに希望の専門診療科へは受診できない場合があります。

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